会話における、あいづちの役割
あいづち(back-channel)とは、聞き手が話し手に対して送る短いメッセージのことであり、話者交替とは見なされないものとする。 1960年代以降、心理学や社会学では、対面の対話における聞き手の応答の仕方や非言語的振る舞いがどのように会話に影響し、社会的相互作用の中でどんな役割を持つのか、といった研究がなされてきた。
会話における、あいづちの重要性 Yngve(1970)は話者交替と関連させて、uh-huhなどの短いメッセージをあいづち(back-channel)と位置づけた。さらにDuncan and Fiske(1977)は、広い意味であいづちを捉え、あいづちは以下の表現を作ることが可能である、と論じた。
- Sentence-Completions:相手の発話に付け加えて文として完成させる表現
- Requests for clarification:内容について問いただす表現
- Brief-Statements:短いメッセージ
- Head Nods and Head Shakes:うなづきなど(非言語的振る舞い)
フロアとあいづちの関係性
さらに、Hayashi and Hayashi(1991)はEdelsky(1981)のフロアの概念とあいづちを結びつけて考えた。 フロアを、獲得・維持するための装置『メインチャンネル(Main Channel)』とし、それに対して、あいづちを相手のフロアを支える装置『バックチャンネル(back-channel)』とした。
最近の研究、例えば郭(2003)によると、ターンの冒頭に現れるあいづちはは聞き手から話し手への移行をスムーズに行なわせる機能があるとされており、また永田(2004)によると、あいづちには種類があり、発話者のメッセージの内容を理解・同意する意味を込めたあいづちと、発話権を獲得するためのあいづちがある、と述べられている。