ことばの世界

言語学を勉強してます

Overlapとは

発話の重複(overlap)とは、1人の話者が話している最中に、別の人が話し始め、発話が重複する現象のことを指す。ディスカッションなどの決められたテンプレートのもとで運用される会話などとは違い、特に自然会話などの特に話し方や順序が決められていなくて、ターンが不明瞭な会話形態で生じやすい。

どのようにOverlapが生じるのか

大きく分けて2つのパターンが存在する

  1. 現在の話し手が話している内容を意図的に遮り、別の人が話し始める場合
  2. TRP(transition relevance place)において、相手の発話の終わりと自身の発話の始めが一部分重なってしまう場合

さて、2. においては、現在話している人がさらに話をしたがっていて話者らがTRPを予期したとしても、依然として、そのまま話をしていた人が話し続け、さらに別の聞き手も話をしたくて話し始めたというという現象を指し、結果的にターンの取り合い(competition)が生じることになる。

遮り行為(interruption)と発話の重複(overlap)

overlapには否定的な側面と、肯定的な側面が存在する。否定的な側面とは、現在の話し手の発言権を遮って奪い取るという現象が会話の中で発生することである。つまりは、遮り行為を行ない、無理矢理相手の発言権を奪うことになるので、否定的に取られるのである。一方で、肯定的な側面も存在する。それは遮ってまでも自分の話がしたい、という会話の内容における熱心さや関心度の高さを示すための遮り行為を伴ったoverlapの場合である。

詳しくは

ward.hatenablog.jp

一般的にoverlapは男性よりも女性同士の会話の中で起きやすいとされている。またHolmes(1993)は短いoverlapを「あいづち」として分析し、このあいづちは会話を促す役割を果たしうる、と考えている。

ward.hatenablog.jp