ことばの世界

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遮り行為の分析

会話を分析すると「遮り行為」が節々でみられる。 この「遮り行為」とは一体なんなのか。これは1人の話者のターン時に、無理矢理別の人が発話を始めることであり、前者の発話権を奪ってしまう行為のことを指す。

遮り行為は、遮る人が発話が重なることを承知の上で実行し、発話権を奪い、話者が変わることなので、否定的に見られ、多くの場合、避けるべきだという認識が強い。しかし、実際にはそういったネガティブなパターンだけではなく、その他にも効果やバリエーションがいくつかある。

同時発話としての遮り行為

同時発話が「遮り行為」における研究で主要なテーマとなっている。これは1人の話者のターンの途中から別の話者が話を始めることによって起こることである(simultaneous talk)。この同時発話を対象した研究には大きく分けて2種類ある。

  1. 遮りを話者同士の力関係の観点から考察するもの
  2. 遮りを1種の会話スタイルとした観点から考察するもの

1.は、発言権を奪うことを意味し、相手に対する支配・力関係を明示するものである、という考え方で研究が進められている。この観点での研究で多いのは、発言権を奪うネガティブ要因と性差の違いに関係した会話であったり、役職(看護師と患者など)に応じた会話などが分析対象となりがちである。 2.は遮り機能が持っている役割を「会話の内容にどれだけ関心があるか、熱心か」といった質的要素が関連するだろう、という考え方のもと行なわれる研究になる。遮るほど、熱心なんだ、というアピールとして遮りが使われている会話を主に分析するので、どうしても定性的分析になりがちという側面がある。

様々な要因と結びつく「遮り行為」 その他にも、ポライトネス理論と結びつく遮り行為や、話者の持っている文化の違い、性差・年齢差などが密接に関わっているとされている。