コミュニケーションとは
談話分析をするのであれば「コミュニケーション」とは何かを明確にしておかなければならない。なぜなら談話分析とはコミュニケーションの一部を分析をする物であるため、非常に密接に関わってくるから正確な理解と扱いが必要なのだ。
コミュニケーションの要素
コミュニケーションを構成する要素は以下の4つになる。
参加者 (participants)
コミュニケーションの参加者には送り手(S)と受け手(R)が存在する。言語学的には受け手のことを聞き手(L)と表現することもある。しかしこのような表現は二者間コミュニケーションを前提としてつくられたものであり、一方的に話者が聞き手に対して情報を伝えるという一方向のコミュニケーションも容認していることになる。しかし、本来聞き手は言葉を発することがなくとも相づちや動作で情報を伝えることもあるし、現実では2人以上の参加者でコミュニケーションを図ることが多いので、送り手や受けて(もしくは聞き手)という表現ではなく、参加者(paticipants)という表現が適切だろう。メッセージ (message)
コミュニケーション行動を通して、参加者は情報、つまりメッセージを伝えることになる。聞き手にとってメッセージは以下のように二分される。- 新たに手に入れる情報
- 既に知っている情報
さらに、メッセージの根源には何があるだろうか
- (言語化される前の)思い・考え
- 発話者の意図(考えや希望)
このようにメッセージを分解することが出来るが、その内容はテクストもしくはコンテクストに依存する場合とがある。
媒体(medium)
言語コミュニケーションには主に話しことば・書きことば・手話の3つの伝達手段がある。特に話し言葉と書き言葉は、言語行動そのものと非言語行動から成っているといえる。- 話しことば
- 言語(音声言語)
- 非言語(音の質・身振り・手振り・距離など)
- 書きことば
- 言語(書記言語)
- 非言語(字体・字配り・筆跡など)
話し言葉と書き言葉は基本的には自然言語(日本語・英語・イタリア語やクレオール、ピジンを含む人がコミュニケーションのために話す言語)が使われ、人々は自然言語を用いてコミュニケーションを図る。
- 話しことば
相互主体性 (intersubjectivity)
コミュニケーションの参加者たちは互いの知識と経験を共有し、それを前提としてコミュニケーションを進め、互いに理解し合う・類似の解釈を求める、という行為を行なう。これを相互主体性とよぶ。相互主体性に欠かせないのが互いの知識(状況)の共有である。互いの知識(状況)を組とながらコミュニケーションを図らないと意思の疎通が取れないからだ。
コミュニケーションの類型
具体的にコミュニケーションにはどんな種類があるのか。列挙してみる。
- 内的コミュニケーション
- 内的言語
- 自問自答など
- 1対1のコミュニケーション
- 会話
- 対話
- 小集団コミュニケーション
- 会話
- 話し合い
- 討論
- パブリック・コミュニケーション
- 演説
- 講演
談話分析では主に2と3を取り扱うことが多い。さらに気をつけておきたいのが1対1コミュニケーションにしろ、小集団コミュニケーションにしろ、受け取る情報の量と内容が異なるので実際に対面してコミュニケーションしている場合と電話などの遠隔通信機器でコミュニケーションしている場合とを区別する必要があるということだ。