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Computer-mediated discourseとは、その歴史

Computer-mediated discourse(CMD) とは何か。チャットであれ、音声通信であれ、インターネットを通じて行なわれるコミュニケーション・会話を研究するに当たって、CMDは非常に重要な基礎概念である。 CMDとは、「インターネットを通じて人が相互にメッセージを送り合うコミュニケーション/会話の分析・談話分析」と解釈することができる。またCMC(computer-mediated communication)もネット上でのコミュニケーションそのものを指す。

古い論文を読むと、CMDはテキストベースで行なわれ、コンピュータでタイピングを行ない、文章を作成し、送ることが特徴である、と述べられているが、現代は劇的な変化が起き続けているため、必ずしもテキストベースでない場合もあるし(例:Skype/Lineのチャット/Vine)、タイピングではなく音声入力・フリック入力など、新しい入力手段も登場している。

CMD研究の歴史

1960年代に米国でコンピュータ同士でデータの通信を行なわせる研究が進められたのが始まり。1970年前半はコンピュータ・サイエンスを研究する学者が使用することが多く、次いで、1980年ごろにはアカデミック界のエリートが研究やビジネスのため使用するようになっていった。1990年第に入るとインターネット・サービス・プロバイダが普及し、多くの人がインターネットに触れれる状態になった。

CMD研究の発展はインターネットの拡大と共に行なわれた。多くの学者が研究していったが、1991年に"Interactive written discourse as an emergent register"が出版されるまで、多くの言語学者はCMDに関して、重要性を理解していなかった。しかし、1990年代後半には一つの研究ドメインとして認識されるほどに急速に拡大していった。

CMDは当初、「匿名」「非個人的」「平等」「断片的」「疑似話言葉」としての属性を持つとされ、詳細な区別がなされなかった。しかし、研究が進むにつれ、リアルタイム性や年代を超えるコミュニケーションといった「相互間談話」の特徴があると示され、一つのジャンルになった。研究が進むにつれ、技術的影響や状況要因が大きく作用すること、そしてそれははるかに物事を複雑にしうることがわかってきた。

参考資料: "Computer-mediated Discourse" http://odur.let.rug.nl/redeker/herring.pdf