ことばの世界

言語学を勉強してます

言語における標準変種と非標準変種

言語には標準変種(standard variety)と非標準変種(non-standard variety)が存在する。特に非標準変種は土地言語(varnacular)とも呼ばれる。 これらの変種は、地域性のみでなく、社会階層によっても規定される。

標準変種を使う人たち

主に上流階級に属する人々が使い、「上品」「好ましい」などの印象を持たれる。また標準変種は社会的に威信があると見なされており、政治的・文化的・経済的・軍事的優位性を持つことが多い。

非標準変種を使う人たち

相対的に標準変種を使う人と比べると下層階級に属する人が使う傾向にあり、「間違っている」「汚い」などのイメージがもたれている。しかし、標準変種であろうと非標準変種であろうとコミュニケーションを計る上での手段であり、そこには価値がある。なので非標準変種であろうともそこには標準変種とはまた別の威信が存在し、これを潜在的威信とよぶ。いわゆる仲間意識や地域内結束を目的としたときに生じる威信に近い。

例:イギリスの標準・非標準変種

イギリスにおける標準変種とは主にRP(Received Pronunciation)やSE(Standard English)である。RPはイギリス人口の5%が使用しており、上流階級の人々が主に使っている。SEは人口の15%が使っており、学校で習ったり、ニュースなどで使われたりと一般的なものとして存在する。一方で、Cockney Englishはイギリス東ロンドン地域で労働者に使用されている非標準変種の1つで、相対的に下流階級未満の人々が使う方言と見なされている。しかし非標準変種にも威信があると上記で述べたように、Cockney Englishも仲間内の結束力を高める、という威信が機能している。

言語学的に標準・非標準変種を区別すると

非標準変種と表現してしまうと、標準変種は不適切な変種という意味合いが取れるので、社会言語学では非標準変種(non-standard)ではなく、vernacularという用語を使ったりする。