ことばの世界

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Computer-mediated discourse(CMD)の分類

コンピュータ・ネットワークはしばしば、書いたり、話したりして行なうコミュニケーション媒体とは性質が違う、という認識をされてきた。また、書いて(タイピングして)行なうコミュニケーションとしての研究よりも、CMD特有の電子媒体が持つ効果や影響について調査が進められた。

それはなぜかと言うと、理由は2つある。1つが、CMDがテキストを生み出す手段というのは、テキストを編集したり、整えたりすることも含む”タイピング”という形式とほぼ同等のことであり、それは非同時性を持つからであるという理由からである。2つ目に、書いてコミュニケーションをするのか、話してコミュニケーションをするのか、という分別をするのがすごく難しいという認識があったからだ。この2つの理由から、CMDの特徴をまずは区分・把握していこうという流れがあり、談話分析などが当初は行なわれてこなかった。

CMDの特徴

CMDは往々にして、書いてやりとりをするよりも早く、話してやりとりをする方法よりは遅い、という特徴を持つ。 また、CMDは2人以上の参加者が存在する会話を実現することができる。しかし、参加者には認識能力の限界があるので、同時に一つ以上の会話に参加することが難しい。 さらに、コンピュータとネットワーク通信の普及により、匿名性を帯びたメッセージのやりとりがなされるようになり、ROM(Read Only Member)も出現するようになった。同時にプライベートな話ができたり、公での話ができたする空間が作られていった。このような環境が構築されていったことにより、参加者は自然とチャット(ネット上での会話)を行なうようになり、しだいに、書いてコミュニケーションを取る方法、話してコミュニケーションを取る方法との区分がつくようになった。そして特徴が明確になっていき、書き・話しコミュニケーションの両方の特徴の一部を持ちうる、という見方がされるようになった。

CMDのチャンネル

実際に面と向き合って話をする際、映像・音声・しぐさなど多くの情報流通形態を持つことになる。なのでface-to-faceでの会話は非常にリッチなコミュニケーション媒体である。それに比べ、CMDは最小限の情報流通形態しか持っていない。その流通形態とはなにか?映像(文字)である。その点でみると、すごく貧しいコミュニケーション媒体のように思える。しかし、文字で音声やしぐさを補うことが出来る点で、非常に豊かなコミュニケーション媒体とも言える。例えば、擬音語を表示することで音声的補完を、表情豊かな顔文字によってしぐさ的補完を補うことができるのがその証明になる。

参考資料: "Computer-mediated Discourse" http://odur.let.rug.nl/redeker/herring.pdf