ことばの世界

言語学を勉強してます

多言語社会のとらえかた

近年、日本でも「多言語社会」に関する意識が高まっている。なぜか?1980年以降、外国人が急激に増えたからだと推測することができる。しかし、これまで「多言語社会」について語る際、その言語の数や使われている言葉の数に注目しがちだった。もっと深く「多言語社会」を考察するために、西川長夫の述べる通り、「多言語社会」を多角的にみる必要がある。

多言語状況

多言語状況は大きく分けて2つのパターンがある。1つ目に地域で言語がすみわけを行なっている場合。話されている言語によって領域が存在し、領域をまたいでしまうと意思疎通が取れない・取りづらくなるレベルの棲み分けが生じうる。方言がその最たる例だと思われる。2つ目に一つの地域に多言語が重層的に話されているケース。都市のように色んな地方から来た商人や移民などが混じり合った場所で多言語を使用している状況が該当する。

しかし、これらのパターンはあくまで基本的なもので実際はもっと複雑でこのパターンが入り交じっている。

考察・疑問

  • 統治のために多言語状況をどこまで許すのが最適なのか,各国の状況を知りたい
  • 多言語国家の強みと弱み

多言語能力・多言語使用からみた多言語生

個人の多言語能力が高まれば高まるほど、またそういった個人が増えれば増えるほど、海外とビジネスを行なったり文化交流を図りやすくなるという点で、国としてそれは資産になりうる。 EUなどは多言語能力向上・使用の取り組みで成功している例に当たる。母語以外にも2つのEU内公用語を学ぶことを推奨しており、主要語に当たる24言語は平等に扱うよう定めている。

考察・疑問

  • 具体的なEUの多言語能力促進政策の内容を知りたい
  • EU各加盟国の第二・第三言語習得の選択傾向を知りたい

多言語主義・多言語政策

多言語主義とは一般的に「社会において多言語状況を容認する理念」「多言語状況を奨励し、さらにそれらの平等な使用や意地を方や政策によって保証しようとする理念」といった意味の幅が広い概念である。多言語主義政策をこれまで人類は行なってきた。例えばオーストリア=ハンガリー帝国ソビエト連邦中華人民共和国がその取り組みを行なってきた。しかし、これら各国の取り組みは思うようにはいかない部分が多く、容認の幅や許容度がバラバラだったりした。EUなどヨーロッパ地域は長い歴史の中で多言語について考え、取り組まざるをえない環境なので、多言語政策は活発である。一方で多言語主義を強めると国として統制が図れなくなる国もあるので反対に統制のために法的・武力的に押さえるケースも存在する。

考察・疑問

  • 現在、言語統制を行なっている国を知りたい
  • 中華人民共和国の多言語政策の意図・内容・結果を知りたい
  • ソ連の多言語政策の意図・内容・結果を知りたい
  • 多言語政策を行い、多言語文化を容認することで出てくる弊害を知りたい

意識の多言語性

言語と文化は根強い関係で成り立っていることから、国家=民族=言語というイデオロギーが存在する。よって学ぶにしろ、理解するにしろ、母語とは異なる他言語に対応する際、ことば以前の意識的な壁(苦手意識であったり、文化的違い)が存在する。しかし、現代は様々な民族が色んな国や地域で交流を図れる時代なので、今後はその壁を崩し、人と言語がどのように関わり、関係性を変化させていくかが鍵となるのでないかと思われる。

考察・疑問